2025年(令和7年)12月1日から、高知県の地域別最低賃金が改定されました。
新しい最低賃金は、時間額1,023円(952円からの引き上げ額71円、引上げ率7.46%)となり、高知県内で働くすべての労働者に適用されます。
本記事では、高知県内の事業者の皆様に向けて、今回の改定内容と実務上のチェックポイントを分かりやすく整理しています。
高知県の最低賃金(2025年・令和7年度)
| 区分 | 時間額 | 発効日 | 引上げ額 | 引上げ率 |
|---|---|---|---|---|
| 新最低賃金(地域別最低賃金) | 1,023円 | 2025年12月1日 (令和7年12月1日) | +71円 | +7.46% |
| 改定前(2024年・令和6年度) | 952円 | 2024年10月9日 (令和6年10月9日) | ― | ― |
最低賃金は、「1時間あたりの賃金の最低額」です。
パート・アルバイト・有期雇用・短時間勤務・外国人労働者など、雇用形態にかかわらず高知県内の事業場で働くすべての労働者が対象となります。
最低賃金が適用される対象者と主な注意点
高知県の地域別最低賃金は、次のような方にも原則として適用されます。
- 正社員・契約社員
- パート・アルバイト・短時間労働者
- 試用期間中の従業員
- 外国人技能実習生・特定技能などの外国人労働者
なお、最低賃金との比較にあたっては、次のような手当は含めない点に注意が必要です。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当・傷病見舞金など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金
- 精皆勤手当・家族手当・通勤手当 など
「基本給+毎月定額の手当」をベースに、1時間あたりに換算して1,023円以上かどうかを確認することがポイントです。
月給制の従業員も「時給換算」でチェックが必要です
最低賃金は「時給」で決められているため、月給制の従業員についても、時給に換算して確認する必要があります。
一般的な計算式は、次のとおりです。<例:月給制の従業員の時給換算>
月給 ÷ 月の所定労働時間 = 時給換算額
月給:180,000円
月の所定労働時間:160時間
180,000円 ÷ 160時間 = 約1,125円
この場合、時給換算額1,125円は、最低賃金1,023円を上回っているため、最低賃金違反にはなりません。
一方で、基本給が低く設定されている場合や、固定残業代を含めて考えているような賃金設計では、「固定残業代を除いた額」で1,023円を下回っていないかを慎重に確認する必要があります。
今回の引き上げで特に見直したいポイント
高知県の最低賃金が1,000円台に上がったことで、次のようなご相談が増えています。
- パート・アルバイトの時給が1,023円に届いているか
- 月給制の従業員の時給換算が1,023円以上になっているか
- 固定残業代を導入しているが、「基本給部分」だけで見たときに最低賃金を割っていないか
- 等級・評価制度と賃金テーブルの整合性(等級が下位の社員が最低賃金ギリギリになっていないか)
- 人件費増加を見据えた助成金活用の検討
最低賃金を下回った場合は、未払い賃金の遡及支払いや是正勧告などのリスクもあります。
特に、賃金体系が複雑な場合(各種手当や固定残業代が多い場合)は、一度専門家にチェックを依頼されることをおすすめします。
賃上げと相性の良い「助成金」の活用
最低賃金改定にあわせて、次のような賃金関連の助成金を活用するケースが増えています。
- キャリアアップ助成金(正社員化コースなど)
有期雇用を正社員に転換し、一定の賃金アップを行うことで助成を受けられる制度です。 - 業務改善助成金
生産性向上につながる設備投資等とあわせて、特定の従業員の賃金を引き上げることで助成を受けられる制度です。
「最低賃金に合わせて上げざるを得ない賃金」を、単なるコストアップで終わらせず、制度づくりや生産性向上とセットで進めることが重要です。
高知県内企業向け|最低賃金・賃金体系のサポート
濵渦社会保険労務士事務所では、高知県内の中小企業・小規模事業者の皆様を対象に、次のようなサポートを行っています。
- 月給制社員の時給換算の確認と、固定残業代の適正な設計のアドバイス
- 最低賃金引き上げを踏まえた賃金表・評価制度の見直しのご相談
- キャリアアップ助成金・業務改善助成金等の活用可能性の検討
「自社の賃金体系が大丈夫か不安」「どこから手を付けてよいか分からない」という場合も、お気軽にご相談ください。

